「癖の大部分は無意識界に在って作動しています。それら心身の癖がいまの"いのち"にもたらしている"不自由"、からの脱却を"悟り""脱皮"と名付けています。この名付けのせいで"癖の放棄""心の開放"という誤った理解が広がっています。"悟り・脱皮"とは、不二の心身の"不自由"からの脱却なのです。"癖の脱却"ではないのです。なぜなら、癖を採用したのは"いのち"自然治癒力の工夫・学習の成果です。"捨てればゴミ、活かせば資源"です。放棄ではなく"資質を活かし、癖を再利用して"『折り合いをつけて生きる』が、養生のコツです。個人の過去や背景を探索するのは"あら捜し"ではなく、無意識界に埋蔵している"資質と学習"を推測して発見し再利用するためなのです。後悔・反省ではなく"発掘"です。ですから、養生の目標は一律ではなく、個性的で独自ののびのびとした生き方なのです。一歩でも"発掘と再利用"が成功すると、そこに、"いのちの輝き"の雰囲気が出現します。幼児が何かに成功した際に見せる"ヤッター"の雰囲気です。障害や不幸せを懸命に生きている人にも、しばしばその輝きが出現します。"乗り越えた"です」