• 1 クレーム・犯罪・説得交渉 23冊

    ※選書リストのすぐ下に詳しい情報と「引用」があります。

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    1『逆転交渉術』クリス・ヴォス+タール・ラズ=著

    2『NYPD No.1ネゴシエーター 最強の交渉術』ドミニク・J・ミシーノ=著

    3『ネゴシエイター』ベン・ロペス=著

    4『ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術』スチュアート・ダイアモンド=著

    5『マトリ』瀬戸晴海=著

    6『入門・覚せい剤事件の弁護〔改訂版〕』東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会 =編

    7『犯罪白書〈令和2年版〉』法務省 法務総合研究所=編

    8『厚生省最後の麻薬取締官』小林潔=著

    9『〈麻薬〉のすべて』船山 信次=著

    10『薬物乱用・中毒百科』内藤裕史=著

    11『依存性薬物と乱用・依存・中毒』和田清=著

    12『<増補版> 危険ドラッグ大全』阿部和穂=著

    13『大麻大全』阿部和穂=著

    14『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』援川聡=著

    15『悪質クレーマー・反社会的勢力対応実務マニュアル』藤川元+市民と企業のリスク問題研究会=編

    16『社長をだせ!』川田茂雄=著

    17『FBIプロファイラーが教える「危ない人」の見分け方』ジョー・ナヴァロ+トニ・シアラ・ポインター=著

    18『鑑識係の祈り』村上和郎=著

    19『犯罪者はどこに目をつけているか』清永賢二+清永奈穂=著

    20『性犯罪者の頭の中』鈴木伸元=著

    21『営業と詐欺のあいだ』坂口孝則=著

    22『定本 危機管理』佐々淳行=著

    23『警視庁科学捜査官』服藤恵三=著

    ※詳しい情報と「引用」は、今すぐこちらから。

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    1『逆転交渉術』

    クリス・ヴォス+タール・ラズ=著

    (早川書房)

    まずは「ノー」を引き出せ

     

    「"すみませんが、ロバート、どうしたら、生きているとわかるのですか"わたしは言った」

     

    「"ただ質問をしているだけですよ"わたしは言った。"受け身でいながら攻撃的なアプローチですね。同じ三つか四つの自由回答式の質問を、なんどもなんどもくり返しているだけです。相手は答えるのに疲れて、こちらが望むものをなんでも差し出すのです"」

     

    「FBIは感情的になる」

     

    「だいたい、自分をメシアだと思っている男と、互いにとって有益なウィン-ウィンの解決策をひねり出そうとしたことなどがあるだろうか?『ハーバード流交渉術』が誘拐犯には役に立たないことは、明々白々になってきた。どれだけ大勢の捜査員がマーカーを握りしめてこの本を読んだところで、人質交渉人としてのわたしたちの交渉への取り組み方を改善してはくれなかった」

     

    「憶測は目を曇らせ、仮定は導く」

     

    「よい交渉者は、仕事に取りかかると、不測の事態に備えなくてはならないと気づく。そして偉大な交渉者は、自分のスキルを使い、確実に存在する不測の事態をさらけ出そうとする。交渉のなかでは、新しい心理的な洞察や、明らかになった追加の情報がひとつ増えるたびに一歩前進し、ひとつの仮定を選択して、ほかのいくつかの仮定を排除していく。このプロセスには、発見の精神で臨まねばならない。さしあたっての目標は、できるだけ多くの情報を引き出し、観察することである」

     

    「支離滅裂な相手をなだめるには?」

     

    「自分の頭のなかの声と相手の頭のなかの声を一度で黙らせるには、強力な方法がひとつある。たったの一手で、双方の頭のなかの分裂状態を解消できるのだ。自分の意見を優先させるのではなく-それどころか、はじめの段階で自分が何を言おうかと思いめぐらすこともせず-自分の唯一にして最大の集中力を、相手と相手が言わんといていることに向けるのである。真のアクティブ・リスニングというその方法なら、相手の武装を解くことができる。安全だと感じさせることができるのである。相手の頭のなかの声はやんでいくはずだ」

     

    「スローダウン」

     

    「急ぎすぎることは、すべての交渉人が犯しがちなまちがいである。人はあまりに急かされると話を聞いてもらえないように感じ、せっかく築いた親密な関係や信頼が損なわれる恐れがある。交渉人にとって、時間の経過はもっとも重要なツールのひとつであることは、いまや数多くの研究によって立証されている。進行をスローダウンすれば、自分もまた冷静になる。それになんといっても、だれかが話しているということは、銃撃はしていないということだ」

     

    「<深夜のFMラジオDJの声>を活用する」

     

    「交渉の戦略や手法について議論するとき、どうしても何を言うか、何をするかにばかりエネルギーを注ぎがちになるが、実はもっとも具現化しやすく、もっとも即効性の高い働きかけは、わたしたちがどうあるか(態度全般や話し方)である。人の脳が処理し、理解するのは他人の行動やことばだけでなく、気持ちや意図、また他人のふるまいや感情の社会的な意味にもおよぶ。わたしたちは、どのような考えをめぐらせるよりも、他人が感じていることを文字どおりつかみとることによって、ほとんど無意識のうちに他人の心を理解している。これを無意識の神経学的なテレパシーの一種だと考えてみよう」

     

    「だからこそ、言語によるコミュニケーションでは、声が最大の力となる。自分の声を使って、意図的に他人の頭のなかに手を伸ばし、感情のスイッチを切り替えることが可能になる。不信から信頼へ。いらだちから冷静へ。正しい話し方によって、一瞬にしてスイッチがぱっと切り替わるのである」

     

    「交渉人が使うべき声のトーンは、基本的に三つである。深夜のFMラジオDJの声、前向きで陽気な声、そして率直な、あるいは毅然とした声だ。ここでは毅然とした声については忘れよう。ごく限られた状況を除き、この声を使うことは進展が期待できるどころか、自分の頬をひっぱたくようなものである。それはこちらが優勢であるという合図であり、相手は攻撃的に、あるいは受け身でいながら攻撃的な態度によって、主導権を奪おうとする企てを押し返すだろう」

     

    「ミラーリングで心理を操作する」

     

    「わたしたちは異なるものを恐れ、似ているものに引き寄せられる」

     

    「1 深夜のFMラジオDJの声を使う」

    「2 "申し訳ないが……"と切り出す」

    「3 ミラーリング」

    「4 沈黙。短くとも四秒間、相手に鏡の魔法が効くまで待つ」

    「5 くり返す」

     

    「相手の痛みは、感じるのではなく言語化せよ」

     

    「人の顔や身ぶり、声のトーンをよく観察するとき、わたしたちの脳はニューラル・レゾナンス(神経の共鳴という意味)と呼ばれるプロセスを介して相手の脳に同調しはじめ、相手が何を考え、感じているのかをより詳しく知らせてくれる」

     

    「言い換えれば、感情にラベリングをする--恐怖に理性的なことばを当てはめる--ことで、生々しい緊迫感が断ち切られるのである」

     

    「<非難の聴取>をする」

     

    「自分が望んでいることを引き出してくれることもあるが、それはボーナスだ。あくまでも人間同士の結びつきが第一の目標である。そのことを念頭において、あなたが関わるあらゆる会話に、リスクを覚悟でこれをちりばめてもらいたいと思う」

     

    「わたしの交渉学講座では、三週目にわたし好みのゲームをする」

     

    「それは最後通牒ゲームと呼ばれ、このように進む」

     

    「"わたしはあなたに、つねに公平に扱われていると感じていただきたいのです。ですから、もしわたしが不公平な振る舞いをしていると感じたら、いつでも止めてください。対処しましょう"」

     

    「もし、相手が抱えている問題や苦悩、まだ達成されていない目標などを明らかにさせることができれば--つまり人がほんとうに買おうとしているものをつかむことができれば、あなたは相手の問題への洞察力をも売ることができ、自分の提案は完璧な解決法となる」

     

    「"なぜ"はどの言語であっても、非難がましくなる。あなたにとって有利になることはまずないだろう。"なぜ"をうまく使える唯一の機会は、相手が守りの姿勢を取ることが、あなたのアプローチを支持することにつながる場合だ」

     

    「そうでなければ、"なぜ"は熱いコンロの火口のように扱うこと--触れてはいけない」

     

    「だが、敵意に対処したり嘘を見抜いたりする方法を学ぶことは、もっとも大きな問題の一部でしかない。それはつまり、相手の精神状態を明かすコミュニケーションの機微に気づき、それを解釈する方法を学ぶことである」

     

    「真に有能な交渉者は、交渉と集団力学に広く行きわたる言語的、準言語的(ことば遣いなど)、非言語的なコミュニケーションのいずれも意識している。また、そうした機微を、自分を利するために採りいれる術も知っている。選択肢を提示するときに、たったひとつのことばを変えるだけで、交渉相手の意識的な選択に、無意識に影響を与えることができる。たとえば"保持する"のかわりに"失わない"を使うなどだ」

     

    「自分自身に人間性をもたせよう。自分の名前を使って自己紹介をする」

     

    「"どうしたらわたしにそんなことができるというのですか?"」

     

    「少し前に、有害な取引をするくらいなら取引をしないほうがいいと述べた。もし、"ノー"が言えないと感じるならば、それはあなたが人質に取られたということだ」

     

    「予測どおり"予測できない"ことのなかに影響力を見つける」

     

    「この未知の未知が、ブラック・スワンである」

     

    「規範的な影響力」

     

    「相手の世界観を知る」

     

    「いかれているのではなく、そこが手がかりである」

     

    「無防備な瞬間を観察する」

     

    「筋が通らないときは儲けどき」

     

    「恐怖を克服し、人生で求めるものを手にいれることを学ぶ」

     

    「最良と最悪のシナリオを熟慮しておくが、最良の結果を表す具体的なゴールだけを書きとめる」

     

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    2『NYPD No.1ネゴシエーター 最強の交渉術』

    ドミニク・J・ミシーノ=著

    (フォレスト出版)

     

    「基本はチームで動く」

     

    「"交渉""記録""決定"3つの役割が交渉の結果を決める」

     

    「1人で交渉を行なうときも、いや、1人で交渉するときこそ、交渉を成功させるには3つの異なる作業が必要だと覚えておくといい」

     

    「・交渉役は決定を下さない」

    「・決定を下す者は交渉を行わない」

    「・他の仕事に首を突っ込まない」

     

    「1人でも、3つの役割を常に忘れない」

     

    「"もうほとんど決まったようなものですが"と言ってから、"念のため1日考える時間をください"と相手に告げるのだ」

     

    「これを少し変えたのが、"パートナーと相談させてくれ"というもので、これも昔からよく使われる。ぶっちゃけた話、パートナーに決定権が全くない場合でもOKだ」

     

    「相手の出かたを予測しておく」

     

    「目標を定め、決定を下すのが指揮官の仕事」

     

    「記録が、最終的な決め手となる」

     

    「自分が本当に望むものを知らなければ、適切な目標設定はできない」

     

    「心構えが整うまで交渉に臨んではならない」

     

    「交渉の基本原則」

    「・うそをつかない」

    「・約束したら必ず守る」

    「・尋ねない限り、答えは出てこない」

     

    「われわれは信頼ゼロの状況から始めて、目盛りの数字をすばやく上げなければならない。ゴールは100じゃない。それは非現実的だ。信頼が不信を上回る51パーセントにもっていきたいのだ」

     

    「日常の交渉で信頼関係を築くときも、50パーセントから51パーセントに進むのが難しいことをしっかり頭に入れておくといい。交渉には信頼が不可欠だが、信頼を築いたからといって、そこで交渉が終わるわけじゃない」

     

    「どんな相手であっても礼儀と敬意を忘れない」

     

    「大量殺人を犯すかもしれない人間に、何と言って呼びかけるか。ファーストネームで呼んでいいと本人から言われるまでは、"ミスター"をつけて呼ぶ。丁寧に、1人の人間にふさわしい、できるだけの敬意をこめて」

     

    「ここでは1つ心に留めておいてほしい。簡単でどうってことのない問いかけが、相手といい関係を築き、交渉を進めるのに必要な信頼を得るために、どれだけ役立つかということを」

     

    「まずは相手にしゃべらせる」

     

    「"タイム"で流れを変えろ」

     

    「"話を聞かせてくれ"」

     

    「NYPDの人質交渉班にいたころ、私にはあるニックネームがつけられた。"トーク・トゥ・ミー(話を聞かせてくれ)"なんて呼ばれてるやつは、たくさんいる警察官の中でもおそらく私だけだろう。それは私がいつも交渉で使っている言葉から来ている。"話を聞かせてくれ"私は相手に言う。"ちゃんと聞いてるから""話を聞かせてくれ"であって、"私の話を聞いてくれ"じゃない」

     

    「必要なのは"共感"だ。同情じゃない」

     

    「交渉役は相手の立場になって考えることをしない。相手がどんな立場にいるのかをわかろうとするのだ」

     

    「相手の感情を読みとる秘訣」

     

    「聞くことは、受け身ではできない」

     

    「相手の要求を探り出せ」

     

    「弱みを力に変えてしまう」

     

    「人の感情はコントロールできるか?」

     

    「効果的な沈黙の使い方」

     

    「情報を次々と引き出す質問力」

     

    「単なる"イエス"に意味はない」

     

    「役に立たない会話はない」

     

    「信頼を築くのにはぶっちゃけた会話が必要だ。そしてそれは唐突に、予想もつかないところから始まったりする」

     

    「対立点に焦点を絞る」

     

    「ずばり尋ねるのだ。信頼関係を築いた後に、われわれはまず"出てくるかい?"と率直に聞くことが多い」

     

    「"われわれ"であって、"彼ら"ではない」

     

    「交渉役は、相手との信頼関係を築く過程で、問題解決に一緒に取り組む"われわれ"という関係を作り上げる。相手を"彼ら"と見るのは、決断を下す立場にある指揮官と銃を持ったニンジャたちだ。ニンジャはその決断の選択肢として控えている。この実力行使という最終的な課題に直面しているからこそ、"われわれ"は力を合わせて問題解決に取り組むのだ」

     

    「"要求"という言葉は使わない」

     

    「与えて、手に入れろ」

     

    「尋ねない限り、答えはわからない」

     

    「その期限、ホンモノかニセモノか?」

     

    「それは相手の期限で、あなたのじゃない」

     

    「タバコ3本で解決ってこともある」

     

    「自尊心に囚われれば失敗する」

     

    「逆に、相手の自尊心を利用しろ」

     

    「私は相手の交渉の仕方がうまいと直接ほめることはしない。相手にそれを証明させるのだ。相手の望むものを探り出し、それを相手に私から手に入れさせる」

     

    「最悪のシナリオを想定しておく」

     

    「"ノー"という選択肢があれば怖いものなし」

     

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    3『ネゴシエイター』

    ベン・ロペス=著

    (柏書房)

    人質救出への心理戦

     

    「"道具箱にハンマーしかなければ、見るものすべてが『釘』に見えてくる" ラリー・ブリッジ警部補/博士 ニューヨーク市警人質交渉班の(元)指揮官」

     

    「ラリーはニューヨーク市警人質交渉班のモットー'"私に話してくれ"を力説した。"私の話を聞いてくれ"ではないんだ'と彼は強調した。'人は交渉人は話し上手でなくてはならないと思っている。もちろん私たち全員、話すのは得意だよ。しかしもっと重要なのは聞き上手であることだ。ここにいるのは電話のむこうにいる人間の話を聞くためだ。話すのはむこう。私たちは耳を傾ける'」

     

    「私は警察官にただの論理ではなく、サイコ・ロジックを見抜く洞察力をあたえた。サイコ・ロジックとはつまるところ、精神障害者が陥る複合的な思考パターンだ。一般人には関わりがあるとはいえない論理だが、対象者の心理においてはそれなりに筋が通っている。この論理が警察官の頭に閃くようにしておけば、表面的には奇異に見える振る舞いについて理にかなった判断を下せるようになるし、そういったことに前よりもうまく反応できるようになる」

     

    「"しかしアドレナリンは血管収縮薬なので、アドレナリンが出ていると勃起しません。いいですか、硬くするには血管を広げておく必要があるのです"」

     

    「目隠しや頭巾は人質犯の兵器庫にあるもっとも強力な武器のひとつだ。正体を守ってくれることはもちろん、人質にあたえる心理的効果が大きい。従順にさせることができる。目が見えなければ、自分がどこに行くのかわからない。ものにぶつかる。すり足でゆっくり歩かなくてはならず、最後には導いてくれる人質犯を頼るようになる。人質は肉体的にも、そして精神敵にも誘拐犯に依存する。第三に、目隠しはアイコンタクトを防ぐ。もし誰かと目を合わせたら、相手はとたんに人間味をまして見えてくる。未熟だが有効な結びつきがふたりの個人のあいだに生まれる。目隠しはその可能性を排除する。それが銃殺される兵士が目隠しされる理由のひとつだ。そうすれば銃殺隊はこれから処刑しようとしている男の目を見なくて済む」

     

    「監禁されて一週間になるころ、見張りのひとりがミゲルに名前を訊ねた。その男は即刻チームからはずされた」

     

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    4『ウォートン流 人生のすべてにおいてもっとトクをする新しい交渉術

    スチュアート・ダイアモンド=著

    (集英社)

     

    「12の主要戦略」

    「1 目標がいちばん大切だ」

    「2 相手がすべて--"頭のなかの絵"を見る

    「3 "感情のお見舞い"をする」

    「4 状況は毎回異なる」

    「5 段階的に進める」

    「6 不等価な価値のものを交換する」

    「7 相手の規範を調べる」

    「8 相手を操作せず、率直で建設的な態度をとる」

    「9 コミュニケーションを絶やさず、目に映るままを言葉にし、ビジョンを描き出す」

    「10 本当の問題をつきとめ、それをチャンスに変える」

    「11 違いをありのままに受けとめる」

    「12 準備する--リストをつくり、それを使って練習する」

     

    「共通の敵をつくる」

     

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    5『マトリ』

    瀬戸晴海=著

    (新潮社)

    厚労省麻薬取締官

     

    「車内にいた男は2人で、運転手は奇声を上げている。衝突した車両は実に10台に上る。"合成カンナビノイドと違いますか? これは酷い"と課長が口にする」

     

    「私は常々、"一流の麻薬取締官"とはどのような存在であるのかと、折に触れて自問し続けてきた。その時、私が思い浮かべるのは"鍋"のイメージだ」

     

    「まず、取締官に必要と思われる要素をメモ用紙1枚1枚に書き留める。たとえば、"法令知識""薬学知識""豊富な現場経験""捜査能力""情報収集能力""情報分析能力""行政能力""語学力""国語力"といった具合だ。それを、水を張った鍋に入れて煮詰めていく(あくまでも想像のなかでの話だが)。すると、水が蒸発する頃には"一人前の麻薬取締官"と書かれた紙がにじみ出てくる」

     

    「加えて、今度は人間的な要素を放り込んでいく。"情熱""向上心""正義感""使命感""想像力""記憶力""五感力""体力""リーダー力""猟犬力""柔軟性""先見性""清廉""実直""公正""果敢""聡明"といった要領で、だ。すると今度は鍋の底から"'Aクラス'の麻薬取締官"という紙が浮かび上がってきた」

     

    「そこでさらに、"アンガーマネジメント力(怒りの感情をコントロールする力)""演出力""遊び心""情愛""聞き巧者""微笑""人たらし""明快""粋"といった言葉を足すと、はじめて"一流の麻薬取締官(スペシャルエージェント)"なる紙が手に入るのだ」

     

    「ご理解いただけただろうか。やはり、"一流の捜査官"には人間的な魅力が不可欠なのだ。だが、これは私が現役で走り回っていた時代のことで、現在のマトリにはより多様な知識や感覚が求められるようになった」

     

    「鍋に投じるべき言葉にも、"IT知識""金融知識""国際感覚""時事力(時代を見極める力)"などが加わり、"効率性"や"コスト意識"も重要になってきた。そうした要素を加味しつつ、新たな"スペシャルエージェント"を目指さなければ、世界の捜査機関に肩を並べられず、複雑化する国際捜査にも対応できない」

     

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    6『入門・覚せい剤事件の弁護〔改訂版〕』

    東京弁護士会期成会明るい刑事弁護研究会 =編

    (現代人文社)

     

    「覚せい剤メタンフェタミンは、日本では医薬品としてほとんど使用されていないのが現状ですが、海外では、小児(6〜12歳)の注意欠如多動性障害(ADHD)の治療にアンフェタミン硫酸塩を5ミリグラム含む錠剤が使用されています。最近はあまり押収されませんが、海外で鼻づまりの薬として販売されている"VICKS Inhaler"は、覚せい剤であるメタンアンフェタミンが入っています」

     

    「この点、原判決は、覚せい剤は厳しく取り締まられている禁制品であって、日常生活において誤って体内に摂取されるようなことが通常あり得ないことからすると、被告人の尿に覚せい剤が含有されていたことのみから、特段の事情がない限り、尿中から覚せい剤を検出できる期間内に、被告人が覚せい剤をそれと認識しつつ使用したと推認することができる、としている」

     

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    7『犯罪白書〈令和2年版〉』

    法務省 法務総合研究所=編

    (昭和情報プロセス)

    薬物犯罪

     

    「第7編 特集-薬物犯罪」

    「第6章 特別調査」

     

    「イ 覚醒剤の入手先」

    「覚醒剤の入手先(重複計上による。不詳の者を除く。)は、"知人"が男性31.5%(141人)、女性が31.6%(72人)と男女共に最も高く、次いで、"連絡先を知っている密売人(携帯電話で連絡を取ったなど)"(男性30.9%(138人)、女性26.3%(60人)の順であり、これらの割合は同程度であったものの、"連絡先を知らない密売人(路上で声をかけられたなど)"では男性19.7%(88人)、女性7.0%(16人)と男性の割合が顕著に高く、"交際相手、配偶者"では男性0.7%(3人)、女性20.6%(47人)と女性の割合が顕著に高かった。また、"暴力団関係者"については、男性13.9%(62人)、女性12.3%(28人)であり、女性の暴力団加入者はいなかったものの、暴力団関係者から覚醒剤を入手した者は男女共に一定数いた」

     

    「ア 小児逆境体験(ACE)」

    「"親が亡くなったり離婚したりした"の経験率が男女共に5割を超えて最も高く、女性では、"家族から、心が傷つくような言葉を言われるといった精神的な暴力を受けた"及び"家族から、殴る蹴るといった体の暴力を受けた"の経験率がおよそ4〜5割と、男性と比べて顕著に高かった」

     

    「イ 食行動の問題・自傷行為・自殺念慮・DV被害」

    「全ての項目で女性の経験率が顕著に高かったが、特に、無茶食い(過食)、自傷行為及び自殺念慮では4割を超え、DV被害では7割を超える者に経験があった」

     

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    https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00027.html

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    8『厚生省最後の麻薬取締官』

    小林潔=著

    (徳間書店)

     薬物犯罪の摘発に命を懸けた男たち

     

    「常習者の女は、男の"ニオイ"でブツを持っているからどうかの見分けがつく」

     

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    https://www.amazon.co.jp/厚生省最後の麻薬取締官-薬物犯罪の摘発に命を懸けた男たち-小林潔/dp/4198651752/

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    9『〈麻薬〉のすべて』

    船山 信次=著

    (講談社)

     

    「アルカロイドとは?」

    「先に述べたように、乱用薬物あるいは依存性薬物としてあげられた化合物のうち、天然由来のもののほとんどはアルカロイドである」

     

    「ムリサイド」

    「大麻の活性成分であるTHCをラットに投与すると、刺激に対して過敏な反応を示し、棒に咬みついたり、仲間同士闘争を起こしたりする。また、後述の条件でTHCを投与したラットを入れたケージにマウスを入れると、ラットはマウスを咬み殺して食べてしまうという行動をとる。これをムリサイド(muricide)という」

     

    「リタリン」

    「もともと、リタリンの適応症はナルコレプシー(睡眠障害の一種)や、難治性・遷延性うつ病の一部に限られていた」

    「化学構造を見ればまさに一目瞭然であるが、リタリンは覚せい剤の化学構造と同じ基本骨格を有する」

     

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    https://www.amazon.co.jp/%E3%80%88麻薬〉のすべて-講談社現代新書-船山-信次/dp/4062880970/

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    10『薬物乱用・中毒百科』

    内藤裕史=著

    (丸善出版)

    覚醒剤から咳止めまで

     

    「メチルフェニデート(methylphenidate)(図1,p.4)は、わが国では1961(昭和36)年にリタリン®︎(1錠10mg,散剤は1%,常用量1日20〜60mg)が医薬品として薬価基準に収載され、2007年に徐放錠コンサータ®︎が小児の注意欠陥多動性障害に承認されるまで、ナルコレプシーと難治性うつ病に処方されてきた。しかし、乱用が問題になり、2007年に難治性うつ病が適応から除外された(p.101"乱用対策と依存の防止"参照)」

     

    「コカインとヘロインの併用は、コカインがヘロインの離脱症状を緩和し、ヘロインがコカインの興奮作用を和らげるというが(O'Brien 2006)、その混合物"speed ball"は、乱用者の間でドラッグカクテルのなかで最も強烈といわれている」

     

    「1947年の設立以来、マインド・コントロール、つまり精神操作、洗脳、自白誘導、心理的拷問用の薬物を探していた米国中央情報局(CIA)はLSDに飛びついた」

     

    「フェンシクリジン[1-(1-フェニルシクロヘキシル)ピペリジン,CI-395,図1]は、パーク・デービス社が開発した静脈麻酔薬で、商品名はSernyl®︎。2mg/kgの投与で、ネコは眼を上下させるだけで24時間一つの姿勢を保ち、野生のアカゲザルは眼を開けたまま、口に入れた人の指を噛まず静穏を保ったままだった(Domino 1980)」

     

    「阿片窟の近くの売春宿では、中国人、ロシア人、外国人が汚れた板の上に横たわり、2,3歳の子供でさえ阿片癮者となって体は痩せて透き通っている」

     

    「骨と皮だけになり下着1枚に至るまで剥ぎ取られ、生ける屍(しかばね)として阿片窟から路上に放り出され、市のトラックで回収されて行った屍体は1937年(昭和12年)だけで1,940体にのぼった」

     

    「売薬商人として中国奥地に入り込み、日の丸を立てれば治外法権で中国の官憲が立ち入れないことをいいことに、公然と阿片を売り、モルヒネを打つ日本人は、中国人から蛇蝎のごとくに嫌われていた」

     

    「日本政府は1938(昭和13)年12月、対中国政策の国家機関として、総理大臣を総裁とし陸軍・海軍・外務の3大臣を副総裁とする"興亜院"を発足させた」

     

    「興亜院蒙疆連絡部の目玉は経済部で、なかでも最右翼の経済第一課の課長には大蔵省から大平正芳(後の総理大臣、外務・通産・大蔵の各大臣)が就任した」

     

    「蒙疆銀行も経済第一課の監督下に入った。経済第一課のおもな仕事は阿片の生産と買付け、販売ルートの確立であった」

     

    「日本の敗戦後、漢奸の裁判で、汪兆銘死去のあとの南京政府の主席・陳公博の起訴理由の一つが、"日本が阿片をほしいままに販売するのを禁止せず、公然と阿片を吸煙させた"ことであった」

     

    「1972(昭和47)年7月に総理大臣に就任した田中角栄は9月、日中国交正常化のため外務大臣・大平正芳を伴って訪中したが、日中国交正常化に当たって阿片問題は、喉に刺さった棘のようなものだったはずである。ロス疑惑の三浦和義元社長が米国自治領のサイパンに足を踏み入れた途端、過去の容疑で逮捕されたように、大平も中国の土を踏んだ途端、逮捕されても不思議ではなかったのである(内藤 2009)。ところが、中国政府は大平が興亜院蒙疆連絡部の実質的なリーダーとして阿片の生産販売に腕を振るったことを承知のうえで、一切そのことに触れず、大平のとった行動とともに一部の人に不自然な印象を与えた」

     

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    11『依存性薬物と乱用・依存・中毒』

    和田清=著

    (星和書店)

    時代の狭間を見つめて

     

    「大量のコカイン摂取は、大発作を誘発しやすい。したがって、結果的にこの実験では、サルは何度も大発作を起こすが、意識が回復すると、レバー押しを再開する。また、コカインには心臓のポンプ作用を強化する作用があるが、この実験では、サルは結果的に大量のコカインを摂取することになり、時には心不全で死亡することもあるという」

     

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    12『<増補版> 危険ドラッグ大全』
    阿部和穂=著

    (武蔵野大学出版会)

     

    「人間の脳の特徴」

     

    「脳の各部分は、細かく名前が付けられ、それぞれの役割がだいたいわかっている。ここではざっくりと脳を4つにわけて、その違いを説明したい」

     

    「まず、脳の中心にあたる部分は、脳全体を樹木に見立てると、脳を支える幹のように見えることから脳幹と名づけられている」

     

    「たとえば、脳幹のうち一番下のところ(ちょうど後頭部の下の辺り)に延髄という部分があり、呼吸中枢を含んでいる」

     

    「また、脳幹のうち上の方(脳のちょうど中心辺り)に視床下部という部分があり、睡眠、食欲、性欲など、生きていくために必要な機能をコントロールする中枢が含まれている」

     

    「危険ドラッグの中には、睡眠を妨げて覚醒作用を示すもの、食欲を無くしてしまうもの、性欲を減退、または異常に高めるものがあり、その作用のために、まともに生きていけなくなってしまう」

     

    「このように、脳幹は、生命維持に必要不可欠な機能を支えており、生きているための脳といえるのだ」

     

    「次に、脳幹の上には大脳辺縁系がある」

     

    「敵に襲われたり、危険な目に会ったりするような、危機的状況を乗り切って生き延びるために、大脳辺縁系が大きな役割を果たす」

     

    「私たちが見たり、聞いたり、体験したことを"快"と捉えるか、"不快"と捉えるかは、辺縁系の中の扁桃体が決めている」

     

    「意欲・行動力を司るのは辺縁系の側坐核である」

     

    「こうした記憶・学習力を司るのは、辺縁系の中の海馬である」

     

    「大脳辺縁系は、たくましく生き延びるための脳なのである」

     

    「そして大脳辺縁系のさらに外側に、大脳新皮質がある」

     

    「大脳新皮質は、うまく生きるための脳である。大脳新皮質は、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、前頭葉という四つの部分に分けられ、それぞれ異なった役目を持っている」

     

    「たとえば、私たちが目でキャッチした視覚情報は、後頭葉にある視覚野に送られて処理され、耳でキャッチした音の情報は、側頭葉にある聴覚野に送られて処理される。また、皮膚で感じとった情報は、頭頂葉にある感覚野で処理され、私たちが手足を動かそうとする指令は、前頭葉にある運動野から発せされる」

     

    「前頭葉の中でも特に前の方は、前頭前野と呼ばれ、思考力、創造力など、人間特有の能力に関係している。宗教、芸術、文化、科学など、私たち人間だけの高度な知的活動は、すべて前頭前野が生み出したものである。さらに前頭前野には、もう一つ重要な機能が備わっている。それは理性である」

     

    「前頭前野は賢く生きるための脳である」

     

    「"生きているための脳""たくましく生き延びるための脳""うまく生きるための脳""賢く生きるための脳"という、この4つ働きが、実にバランスよくできているのが、人間の脳なのである」

     

    「神経伝達物質と受容体」

     

    「興奮性、ならびに抑制性シナプス伝達を修飾する役割を担う伝達物質には、ドーパミン、ノルアドレナリン、セロトニンなどがある」

     

    「ドラッグと脳」

     

    「ダウナー系の作用」

     

    「野生の脳である大脳辺縁系の働きは、理性の脳である前頭前野によってコントロールされているが、PCPやケタミンが前頭前野を抑制してしまうと、大脳辺縁系はその支配から解放されて、通常より活発に活動しはじめる。まるで、いつも上司に厳しく見張られていた部下が、上司がいなくなると思い切り羽を伸ばして、大ハシャギするようなものである」

     

    「大脳辺縁系が、活発化すると、いろいろな幻覚や夢を見るが、大脳新皮質の中にある運動野は、PCPやケタミンで麻痺されているので、体を動かそうとしても思うように動かない。つまり、精神と肉体が解離するのだ」

     

    「アッパー系の作用(覚醒とノルアドレナリン)」

     

    「コカインがトランスポーターを阻害すると、放出されたノルアドレナリンがシナプス間隙にたまり、強く作用するようになる」

     

    「覚醒剤は、トランスポーターを通って神経終末に入り込み、ノルアドレナリンを放出させる」

     

    「ところが、コカインや覚醒剤などで、無理やりノルアドレナリンの作用が強められ、覚醒が維持され続けると、"いつまでも疲れず、頭がはっきりして働ける"と感じるのだが、実際には超えてはならない限界を超えてしまい、脳は大きなダメージを受けて、元に戻らなくなってしまう。働きすぎて過労死してしまうようなものである」

     

    「サイケデリック系の作用(幻覚とドーパミン・セロトニン)」

     

    「さらに、統合失調症だけでなく、うつ病や神経症など多くの神経疾患で、セロトニンの異常が報告されている」

     

    「オピオイドの作用」

     

    「カンナビノイドの作用」

     

    「薬物依存と脳」

     

    「リモコン・ネズミのからくり」

     

    「私たち人間もネズミも、脳の中には報酬系というしくみがある。具体的には、中脳の腹側被蓋野という場所にある神経細胞の軸索が、辺縁系の側坐核という場所まで伸びている神経路で、これが活性化されると、側坐核でドーパミンが放出されるようになっている」

     

    「自由意思を奪う報酬系」

     

    「乱用薬物には、共通して報酬系を刺激する作用がある。より具体的には、何もいいことをしていなくても、薬物を摂取しただけで"腹側被蓋野"→"側坐核系"においてドーパミンが大量に放出されてしまうのだ」

     

    「モルヒネは、ドーパミンを分泌する神経細胞に抑制をかけているGABAの働きを弱めて、ドーパミン作動性ニューロンの興奮を高める」

     

    「コカインは、ドーパミン作動性ニューロン終末のトランスポーターを阻害して、ドーパミン濃度を高める」

     

    「覚醒剤は、ドーパミン作動性ニューロンからドーパミンを放出させる」

     

    「幻覚薬や大麻も、ドーパミン作動性ニューロンからのドーパミン放出量を増やす」

     

    「それぞれ微妙に違うようだが、結果的にドーパミン放出を増やす点では同じである」

     

    「精神的依存は、"快感を求めているのではなく、不快から逃れようとしている"のだ」

     

    「身体的依存は、もっと深刻である。たとえば、モルヒネは、中枢抑制薬であり、使用中は中枢神経が抑制されるが、習慣的な使用によって抑制された状態が続くと、これを打ち消そうとして内発的に中枢神経が興奮しやすいように体が変化していく。そして、モルヒネが存在するときに、中枢神経がちょうどバランスがとれた状態になる。この時点で、身体的依存が完成する。身体的依存が形成されてからモルヒネ使用を中止すると、いわゆる禁断症状として、中枢神経の異常な興奮状態が現れるわけだ。具体的には、精神錯乱や、けいれんなどが起こる」

     

    「薬物以外にも依存症がある。正式な分類ではないが、ギャンブル依存症、買い物依存症、ゲーム依存症、インターネット依存症、スマホ依存症など、さまざまな用語が作られている」

     

    「対象が薬物でないだけで、発生するメカニズムはほとんど同じで、そのきっかけは、欲求不満だ。本来の望みがかなえられず、解決できない閉塞状態に陥ったとき、ギャンブルや買い物、非現実の世界に逃避する。誰にも邪魔されないということが"不快"の裏返しで"快"の錯覚を与える。そしてその行為の中で、非日常的な刺激的な出来事、自分の思い通りに動く何かがあったとき、"報酬系"が働き、はまってしまうのだ」

     

    「依存症は治せるか?」

     

    「私たち人間は、この地球上でもっとも進化した脳を手に入れた。ワニやヘビなどの爬虫類の脳は、"生きているための脳(=脳幹)"が大部分だが、ウマなどの哺乳類では、"たくましく生きるための脳(=大脳辺縁系)"が発達した」

     

    「サルは、"うまく生きるための脳(=大脳新皮質)"が、ほぼ人間と同じレベルにまで発達した。"サルと人間の脳はほとんど同じ"だといわれるが、決定的に違うのは、"賢く生きるための脳(=前頭前野)"の大きさだ。人間がサルよりおでこが広いのは、前頭前野が大きく発達したからである。前頭前野によって大脳辺縁系が持つ野生の本能をコントロールできるのが、人間なのだ」

     

    「ネズミもサルも、麻薬を強制投与されたら最後、絶対に自ら止めることはできない。死ぬまで麻薬を求め続ける。しかし、前頭前野がある人間なら、必ず何とかできるはずである」

     

    「危険ドラッグと教育」

     

    「子どもたちを守るためのポイントは4つある」

    「最も現実的ですぐにでもはじめるべきことは、インターネット対策である」

    「第2は、かなり根本的な問題であるが、"ドラッグを試してみたい"と思わせてしまう不健全な環境を改善することである」

    「第3は、子どもたちを孤立させないことである」

    「最後に、最も重要なのは教育だ」

     

    「脳内戦争」

     

    「突き詰めて考えると、人間の脳内で繰り広げられる戦いにほかならない。利己的な野性の脳(辺縁系)を、人間らしい"賢い"脳(前頭前野)がどうやってコントロールできるかにかかっている」

     

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    13『大麻大全』
    阿部和穂=著

    (武蔵野大学出版会)

     

    「Q&A 大麻についてどれだけ知っていますか?」

     

    「THCは、大麻草自体にはほとんど含まれておらず、加工したり、燃やしたりする過程で人工的に作られる」

     

    「マリファナの主成分であるTHCは、体内に蓄積しやすく、1ヶ月経っても消失しない」

     

    「マリファナ常用者が使用を中止しても、離脱症状がすぐに現れないので、マリファナは身体的依存性が少ないといわれていたが、薬効成分THCに拮抗する薬を投与すると急速に離脱症状が現れる」

     

    「動物実験で確かめられたマリファナの作用」

     

    「THC投与により生じる四大症状」

    「①"自発運動量の低下"」

    「②"鎮痛"」

    「③"低体温"」

    「④"カタレプシー"」

     

    「カタレプシーは、"強硬症"とも呼ばれ、不自然な姿勢をとらされても、自分で元に戻せない、あるいは戻そうとしないでその姿勢を保ち続ける状態をいう」

     

    「ところが、THCを与えられた動物は、鉄棒に前肢をかけたまま、固まったようにしてじっと動かないのだ」

     

    「THCの血圧低下作用と食欲亢進作用」

     

    「THCが引き起こす異常行動」

     

    「記憶力に対する影響」

     

    「THCの免疫低下作用」

     

    「ホルモン分泌と性行動に対する影響」

     

    「マリファナと精神疾患・依存性」

     

    「つまり、この事実は、マリファナやTHCが、視覚認知能力を低下させることを示している」

     

    「近年、マリファナやTHCと、統合失調症の関連性を示唆するデータが、多数報告されている」

     

    「薬物依存のしくみ」

     

    「乱用薬物には、共通して報酬系を刺激する作用がある。より具体的には、何もいいことをしなくても、薬物を摂取しただけで腹側被蓋野→側坐核系においてドーパミンが大量に放出されてしまうのだ。報酬系は、やる気のサイクルを担っているので、薬物によって無理やり報酬系が刺激された結果、再び薬物が欲しいという気持ちが生まれてしまう。同じサイクルが動くのだが、"練習を繰り返してどんどん上手になる"場合は有益なのに対し、"薬物にはまる"のはなぜ無益なのだろうか?」

     

    「最大の決定的な違いは、目的と結果が一致しているかどうかである。有益なやる気を生み出す場合は、もともと"こうしたい""ああなりたい"という前向きな欲求を満たそうとして目的の行動にうつり、それが成功すれば欲求が満たされる」

     

    「ところが、薬物依存の場合、初めて手を出すきっかけは、嫌な現実から逃避したいという気持ちから始まることが多い。そして薬物を使用すると、報酬系が刺激されて、見かけのご褒美が得られたと感じるかもしれないが、当然ながら薬物に手を出す前に求めていたような解決は得られていない。しかも、薬物効果には耐性が生じる。2回、3回と薬物を繰り返すと報酬効果が実感できなくなるので、乱用が増す一方で、欲求不満がつのるばかりとなる。やめようと思ってもやめられず、一生その悪循環から逃れられなくなるのだ」

     

    「合成カンナビノイドと内在性カンナビノイド」

     

    「内在性カンナビノイドは私たちの体が正常に働くために欠かせないもの」

     

    「人間に限らず、すべての動物が生きていくために必要不可欠な欲求として、"食欲""睡眠欲""性欲"がある。これら本能的欲求をコントロールする脳の中枢は、"視床下部"であり、視床下部にはCB1受容体が豊富に分布していることから、内在性カンナビノイドの関与がうかがえる」

     

    「内在性カンナビノイドの量が多すぎても少なすぎても、流産の原因になる可能性がある」

     

    「この結果の解釈は難しいが、内在性カンナビノイドは"不安"を調節していると考えられる」

     

    「マリファナは内在性カンナビノイドの働きをかき乱してしまう」

     

    「酒やタバコとの比較」

     

    「酒は、薬物とみるなら、麻酔薬の類いである」

     

    「アルコール依存症は、精神的依存だけでなく身体的依存を伴う」

     

    「アルコール依存症は、精神疾患の一種とみなされ、飲酒をしている人なら誰でもかかる可能性がある。日本のアルコール依存症患者数は、およそ200万人と推定されている。治癒率は20%程度といわれ、裏返せば、治療しないで放置されているか、治らない人が80%もいるのである」

     

    「アルコールは薬物の一種であり、飲酒は薬物問題であるという考えが、もっと広がることを期待したい」

     

    「タバコの有毒性」

     

    「一つは、もともとニコチンが、非常に依存性が強い薬物であるから。麻薬のヘロインやモルヒネと同等か、それ以上といわれる。これはマリファナの比ではない」

     

    「米国の状況」

     

    「食べるマリファナによる悲劇」

     

    「悲劇は、マリファナが何なのか知っている若者や大人にも起きた」

     

    「2014年3月、コンゴ民主共和国からの交換留学生 Levy Thamba Pongi さん(19歳)は、ワイオミング州のパーク郡パウウェルにある Northwest College でエンジニアになるための勉強をしていた」

     

    「彼らがコロラドをめざした目的がマリファナだったかどうかは定かではないが、3月11日に Pongi さんは、マリファナを練り込んで作られたクッキーを食べることになる」

     

    「そして、ホテルの部屋でそのクッキーを数個食べたところ、攻撃的な行動を示し始めた。友人たちは彼を落ち着かせようとし、いったんはうまく成功したと思ったが、間もなく彼はベッドから飛び降り、部屋を出て廊下を走り抜け、4階のバルコニーから飛び降りた。即死であった」

     

    「2014年4月、デンバー在住の44歳女性 Kristine Kirt さんは、夜9時半頃、911番に助けを求める緊急通報をした。夫の Richard kirk さん(47歳)がマリファナ入りクッキーを食べた後、幻覚を訴え、世界の終焉を語るとともに、3人の子どもたちを傷つけていると彼女は説明した」

     

    「3人の子どもたちにとっては父親が母親を銃殺する様子を目の当たりにするという悲劇的な出来事だった」

     

    「2014年8月、ビデオゲームデザイナーの34歳男性 Jordan Coombs さんは、彼の父、妻、そして2人の小さな息子と一緒に、 Denver County Fair (デンバー郡見本市)を訪れた」

     

    「そのチョコレートバーは、マリファナ入り食品であったが、販売員に"THCは入っていない試食品"と説明されて4〜5個を食べたそうだ。その20分後、彼は吐き気とともに頭がおかしくなる感覚を覚え、異常を妻に訴えた。妻が彼を病院に連れていく車の中で、彼は"今すぐ心臓発作で死にそうだ"と何度も叫び、車から飛び降りることを考えていたという。体は痙攣していた」

     

    「食べるマリファナが危険な理由」

     

    「1回のマリファナ吸煙で摂取されるTHCは数㎎〜10㎎であり、クッキー1枚に含まれているTHC量がその6倍以上だということ、そしてそれを一度に食べることがどれだけ危険かを Pongi さんは理解していなかったに違いない」

     

    「とにかく、マリファナを"食べて摂る"ことは、決して"お手軽"ではなく、吸煙よりも危険な行為であることを認識すべきなのである」

     

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  • 1 クレーム・犯罪・説得交渉 23冊

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    14『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル

    援川聡=著

    (ダイヤモンド社)

    100業種・5000件を解決したプロが明かす23の技術


    「"顧客満足"と"危機管理"を同時に追求する」

     

    「最初の5分で"謝って済む問題"に持ち込む」

     

    「顧客満足をベースにした"性善説"でスタートするべきです」

     

    「"5分間"我慢すれば8割解決」

     

    「なぜ"スピード解決"を焦ってはいけないのか?」

     

    「最初の"30分"はこの戦略で乗り切る」

     

    「相手の土俵に上がらずに時間を稼ぐ"ギブアップトーク"」

     

    「過剰な要求は"断固拒否"していい」

     

    「"誠意のハードル"を設定してブラさない」

     

    「しつこいクレーマーには"2人以上"で対応する」

     

    「クレーマーの"弱み"につけ込め」

     

    「"エスカレーション"で持久戦に持ち込む」

     

    「悪質クレーマーには"ラグビー型"で組織対応せよ」

     

    「"誠に申し訳ございませんが、いま結論を出すことはできませんので、一度電話を切らせていただきます"」

     

    「なぜ、クレーマーの自宅訪問は"3人"が理想的なのか?」

     

    「"私ひとりでは判断できません"」

     

    「"大切なことですから、しっかり協議してお返事いたします"」

     

    「"お急ぎかもしれませんが、今すぐというわけにはいきません"」

     

    「即時対応は危険。"うまいお詫び"で時間を稼ぐ」

     

    「おうむ返しで"やりすぎた感"を持たせる」

     

    「法律を武器に"断り"と"警告"ではねのける」

     

    「組織が一丸となって"NO"を伝えた後は、放置すればいいのです」

     

    「相手が5秒間沈黙したら、こちらは10秒間黙るのです。最初は難しいかもしれませんが、徐々に慣れます。そして"オイ、聞いてるのか!"と言われたら、"はい、聞いております"と、即座に切り返します。すると、相手のほうが焦ってきて、脈絡のない話になっていくはずです。これで形勢は逆転するのです」

     

    「相手の行動を録音・録画して対抗する」

     

    「データは共有してこそ価値が出る」

     

    「警察・弁護士の連携は"事前相談"が基本」

     

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    15『悪質クレーマー・反社会的勢力対応実務マニュアル

    藤川元+市民と企業のリスク問題研究会=編

    (民事法研究会)

    リスク管理の具体策と関連書式

    〔リスク管理実務マニュアルシリーズ〕

     

    「クレーマーからの電話を無断録音したものが、特別に違法性の大きい方法で録音がなされていない限り裁判の証拠として有効であることは、ほぼ争いがないであろう」

     

    「このようにして、度を超えたクレームから会社を守ろうとする利益は、クレームを言う者の利益に優越されるべきである。したがって、無断録音をしてもクレーマーのプライバシー権を侵害したことにはならない」

     

    「また、個人情報保護法によると、電話の会話を録音するには、原則として利用目的を公表しまたは本人に通知することが必要であるとされている。しかし、クレーマーとの会話については、同法の適用除外事由に該当するものとして、公表、通知は不要である」

     

    「したがって、どのような場合であっても、社内では絶対に社長にクレーマー対応をさせないという方針を徹底しておく必要がある」

     

    「訪問の際には、1名で訪問するのは絶対に避け、複数名体制をとるべきである。不当クレームであった場合のリスク(後述する)のほか、1名では訪問時のやり取りの証人がいなくなってしまうこと、が理由としてあげられる」

     

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    16『社長をだせ!』

    川田茂雄=著

    (宝島社)

    実録クレームとの死闘

     

    「警察に連絡したからといって、どこが変わるわけでもありません。しかし気分的には元気が出ることと、"警察を入れるほど大変なのか?"と社内のコンセンサスをしっかり固めさせるにはとてもよい効果があります」

     

    「"消費者の四つの権利"がクレーム元年」

     

    「しかし、このような状況の中で一九六二年、アメリカのケネディ大統領が"消費者の四つの権利"を打ち出します。それは次のようなものでした」

     

    「○"安全を求める権利"」

    「○"知らされる権利」

    「○"選ぶ権利"」

    「○"意見を聞いてもらう権利"」

     

    「一九六八年に"消費者保護基本法"が制定され、この中に"消費者の四つの権利"がうたい込まれ、全国に国民生活センターや消費生活センターなどが続々と開設され、消費者保護の気運の高まりが急激に進みます」

     

    「一九九九年七月、全日空機が乗っ取られて機長が殺害されたハイジャック事件なども、ひとつのクレーム処理を怠ったがために起きた事件と捉えることができます」

     

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  • 1 クレーム・犯罪・説得交渉 23冊

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    17『FBIプロファイラーが教える「危ない人」の見分け方』

    ジョー・ナヴァロ+トニ・シアラ・ポインター=著

    (河出書房新社)

     

    「ナルシストはたいていの場合、ほかの人を支配できる立場を探し求める。法律、医療、政治の専門家や企業の重役など、地位やステータスを利用して身を守れる仕事で見かけることが多い。FBIの面接試験で応募者のひとりが、"そのバッジを身につけたら、もう誰も私に楯突かなくなりますね"と言ったのを思いだす」

     

    「ナルシストは共感をほとんど身につけていないから、まるでどこかが欠けている人間のようで、欠けた部分を満たしてくれる誰かを探している。ところがその誰かを見つけてしまうと、状況はますます悪化する。ナルシストの欠けた部分をほんとうに満たせる人はどこにもいないからだ。ナルシスト自身もまた、ほかの誰かを満たすことはできない」

     

    「問題の社員の行為はもう手に負えないほどひどく、会社の支払い能力を脅かすまでになっていた」

     

    「私の知人の経営幹部が、取引相手の人たちにあまりにも毒があったから、あるいはあまりにもナルシスト的だったから、取引するのをやめた、自分たちも会社のスタッフもその人たちと同じ部屋にいるのが耐えられなかった、電話で話すのもいやだったと話したことがある」

     

    「イリノイ州のディクソンで市の会計・財務責任者を務めたリタ・クランドウェルはどうだろう。彼女は二○一二年に、二二年間という長期にわたって計五三○○万ドルを横領した罪を認めた。この信じられない金額の一部を、リタは興味を抱いたクォーター馬への出資に使ったとされている」

     

    「それは私にとって身の引き締まる思いのする一日になった。長年にわたってこの事件の資料を読んでいたにもかかわらず、子どもや赤ん坊の膨れ上がった死体が並ぶ犯行現場の写真を目にし、この大虐殺、師と仰がれたジム・ジョーンズ、そして彼のナルシスト的人格について、新しい視野が開けてきたからだ」

     

    「現代のビジネス環境、なかでも熾烈な競争が繰り広げられている金融の世界がプレデターにとっては魅力的で、見返りも期待できるのだと言う人もいる。この世界のプレデターはカリスマ的で注意を引くが、直情的かつ攻撃的行動によって企業に危機を招くこともある。ケネス・レイとジェフ・スキリングがエンロンでしたことが、まさにそれにあたる。彼らは詐欺罪に問われたが、エンロンの二○○一年の倒産は当時米国史上最大の企業破綻となり、多くの人々は生計手段も老後の蓄えも失った」

     

    「"ひとりの人間を殺すのは国の悲劇だが、一○○万人を殺せば、それは統計だ"」

     

    「第6章 危険な人格から身を守るには」

     

    「ただ見るだけではなく、観察する」

     

    「感覚を信じる--この人物に会うとどう感じるか?」

     

    「やさしさと善良のちがいを知る」

     

    「空間と距離を支配する」

     

    「時間を支配する--ゆっくりと落ち着いて進める」

     

    「危険な人格の持ち主は、時間を利用して相手を消耗させようとする」

     

    「時刻と場所が大切であることを知る」

     

    「危険な人格にとって魅力的でない存在になる」

     

    「言動を記録する」

     

    「覚えておくこと--裁判や正式な手続きでは、常に書いた日誌のほうが誰かの記憶より強い。相手方の弁護士が一番会いたくないのは、出来事の詳細を律儀に記録してきた妻、部下、ビジネスマンだ--負けは目に見えている」

     

    「支え合う仲間を作る」

     

    「境界線を引く」

     

    「危険が迫ったら、行動する」

     

    「特記--自分が危険な人格かもしれないと思ったら」

     

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    18『鑑識係の祈り』

    村上和郎=著

    (若葉文庫)

    大阪府警「変死体」事件簿

     

    「ひとりぼっちで、さびしかったやろう」

    「でも、ようがんばった」

    「このあと、お父ちゃん、お母ちゃんに会えるからな」

    「もうちょっとの辛抱やで」

     

    刑事部門一筋27年、約4,000人のご遺体と向かい合ってきた村上元警部の本。

    悲しい事件をきっかけに、家族や命の大切さを訴えかけます。

    『この冬のおうち時間を有意義に過ごしたいと思っているあなたへ』お薦めの書籍です。

     

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    19『犯罪者はどこに目をつけているか』

    清永賢二+清永奈穂=著

    (新潮社)

     

    「基礎知識その5・不審者の見分け方」

    「変な人は"似合わない"」

    「怪しい人は"コンタクトを取ろうとする"」

    「危ない人は"追って来る"」

     

    「狙われやすい六つのタイプ」

    「①襲うだけの価値がある者」

    「②無防備である者」

    「③体力がない者」

    「④心理的強度が弱い者」

    「⑤孤立している者」

    「⑥襲いやすい環境下にいる者」

     

    「犯罪者は下絵師である」

     

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    20『性犯罪者の頭の中』

    鈴木伸元=著

    (幻冬舎)

     

    「​性犯罪者の特徴は"毛穴が詰まった感じ"」

     

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    21『営業と詐欺のあいだ』

    坂口孝則=著

    (幻冬舎)

     

    「いつか自分自身まで騙す」

     

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    22『定本 危機管理』

    佐々淳行=著

    (ぎょうせい)

    我が経験とノウハウ

     

    「組織防衛がコンプライアンス」

     

    「”Cの危機”として新たに登場したのが、コンプライアンス compliance である。”法令遵守”と訳されているが、必ずしも正しい訳語ではない。辞書によると”名詞:申出・要求・希望に従うこと、承諾・服従”(三省堂クラウン英和辞典)となっていて、 in compliande with となると”……に従って、応じて”となっている”法令遵守”はその意訳から第三義として挙げている辞書があるが、第一義ではない。それはあらゆる”不平・不満・苦情・撤回要求・不良品買戻し(リコール)・製造者責任・謝罪・損害賠償”などにどう対応するかという組織防衛のためのノウハウと解すべきだ」

     

    「いくら誠実に法令遵守していても、グローバリゼーションが進み、日本もアメリカのような訴訟社会、弁護士社会となって、製造者責任追及のリコール、経営責任を問う株主代表訴訟、セクハラ、知的所有権侵害訴訟など、結果論的な無過失責任、道義責任の追及とその金銭化の要求が当然の資本主義社会になりつつある昨今、問題が起きたときの初動措置、記者会見のタイミングと会見者の応答技術の巧拙の如何が、その組織の存立に関わり、指導部の進退にまで及ぶ重大な危機管理のノウハウとなった。また、公益通報者保護法による内部告発者対策もコンプライアンスに含まれる」

     

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    23『警視庁科学捜査官』
    服藤恵三=著

    (文藝春秋)

    難事件に科学で挑んだ男の極秘ファイル

     

    警察を辞めて丸九年。

    後悔したことは一度もありませんでした。

    この本を読むまでは。

     

    「何もしたくないこの時期に、力を蓄えておくことが大切だ。自分を信じて、自分に投資し、能力を高め、根を生やしておくのだ。これは本当に辛い。先も見えないこのときに、何のためになるのかと思うことだろう」

     

    「どん底のとき、妻は私にこう語りかけた」

     

    「"いろんな事件や事故のたくさんの犠牲者や被害者の無念を晴らすために、夜も寝ないで働いて、社会のために頑張ってきたんだから。どんな状況になっても、ずっと見ていてくれてるよ。いろいろな事件の被害者が、みんなそばに付いてるから大丈夫だよ"」

     

    「犠牲者や被害者やその関係者の思いは、事件の軽重では計れない」

     

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